ストロボを使うと半分ぐらいが暗くなってしまう。原因は?

写真技法

こんにちは、ヨシヒコです。

ストロボって難しいイメージがありませんか?

カメラを始めたばかりの初心者の方は「ストロボ自体使ったことない!」という方いるかもしれません。

しかし様々なシチュエーションでの撮影をするようになってくるとストロボライティングの技術はとても重要なものとなってきます。

カメラ内臓のストロボを使ったり、カメラに適合しているクリップオンストロボを使用すればTTL機能(Through The Lens:カメラのレンズを通して調光し、ストロボ側の発光量を調整してくれる機能)を活用できてあまり考えずとも撮影できますが、マニュアルで撮影をする場合は色々と考慮しないといけないことが出てきます。

今回はその中でも基礎的な知識であるストロボ同調速度に関して解説していきます。

これを知らないと「あれ?画面の半分が真っ黒になってるぞ・・」とか「下が一部暗く写っちゃったな・・」なんて失敗写真を量産することになりかねません。

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失敗写真の例


まずは下の写真を見てみてください。
(使用カメラ Canon EOS 6D)


外部ストロボ発光で植物を撮影した写真なのですが、絞りを固定してシャッタースピードを変えています(露出を保つためISO感度も変えています)。

左側の写真は全体がきちんと写っていますが、右側の写真は右端がうっすら黒くなっているのが分かりますか?

ここからさらにシャッタースピードを上げていきます。


シャッタースピードを1/250秒、1/320秒と速くしていくと黒くなる面積が増えているのが分かりますね。


どんどん上げてみましょう。


シャッタースピード1/640秒、1/1250秒とさらに上げていくとほとんど真っ黒な写真になってしまいました。

このような写真になってしまう理由は、シャッタースピードがストロボ同調速度よりも速くなってしまっているからです。

ストロボ同調速度はカメラの機種によって異なりますが(今回使用したEOS 6Dの場合は1/180秒)、ストロボを使用する際は機種ごとの同調速度以下のシャッタースピードで撮らないといけません。

カメラの内部ストロボや前述したTTL機能で撮る場合は、シャッタースピードが同調速度より速くならないようにカメラ側で自動で制限がかかるようになっており、こういう写真にはなりません。

しかしマニュアル操作で撮る場合は意識しておきたいところですね。

ちなみに今回はスタジオでストロボ光のみで撮っているので一部が真っ黒になっていますが、自然光+ストロボ光で撮る場合は一部が真っ黒ではなく暗くなります。

ここから先はストロボ同調速度、シャッター幕とストロボの関係を詳しくみていきましょう。

ストロボ同調速度とは?


ストロボ同調速度とは、カメラのシャッター幕が完全に開いていることができる限界のシャッター速度のことです。

メーカーやカメラの機種によって異なりますが、だいたい1/125秒〜1/250秒の間になっています。

これだけ聞くと???になるかもしれませんが、一眼レフカメラで一般的なフォーカルプレーンシャッターの仕組みを理解することでストロボ同調速度の理解を深めていきましょう。

フォーカルプレーンシャッターの動き


一眼レフカメラではフォーカルプレーンシャッターというシャッター方式が採用されている機種が多いです。

フォーカルプレーンシャッターは撮像素子(センサー)の手前に配置されていてシャッター幕が縦方向に走る事により、センサーが露光する時間をコントロールしています。

シャッター幕には先幕と後幕があり、先幕が下りる→後幕が下りるという順番で幕が走ります。

先幕と後幕が下へ下りるスピード自体は一定なのですが、先幕と後幕が下りる間隔を変える事によってシャッタスピードを変化させています。

低速シャッタースピード時の動作

上の図はシャッタースピードが低速時の動きです。

まず先幕が下りきって間隔を開けて後幕が下り始めているのが分かります。

高速シャッタースピード時の動作

どんどんシャッタースピードを上げていくと上の図のように先幕が下りきらないうちに後幕が下り始めるようになります。

フォーカルプレーンシャッターはこのようにして数百分の1秒とか数千分の1秒とかの高速シャッターを実現しています。

シャッター幕とストロボの関係


ではなぜ高速のシャッタースピードでストロボを使用すると一部が黒くなってしまうのでしょうか?

その理由はストロボの閃光時間(光っている時間)とタイミングが関係しています。

ストロボの閃光時間は設定によっても変わりますが、シャッタースピードよりも非常に速いです。

つまりストロボが光った瞬間のシャッター幕の位置がそのまま反映されてしまうのです。

ストロボが光るタイミングに関しては先幕シンクロと後幕シンクロというものがありますが、標準の設定では先幕シンクロになっています。

先幕シンクロとは先幕が下り切ったタイミングに合わせてストロボが発光することです。

後幕シンクロは後幕が下り始めるタイミングに合わせて発光することです。

通常の先幕シンクロ設定で撮影している場合は、高速でシャッターを切ると先幕が下り切ったタイミングでストロボが発光するので後幕が影となってしまうのです。(後幕シンクロの場合は先幕が影となります)

まとめ


最近のクリップオンストロボはハイスピードシンクロ機能(通常発光よりも長時間発光し続けることによって同調させる機能)も付いているのでこの機能を使うのもアリだと思います。

ただハイスピードシンクロはストロボのバッテリーの減りが早くなったり、連写しているとオーバーヒートしてしまったりするのでシチュエーションに合わせて使いたいところですね。


ということで、今回は一部が黒い写真が撮れてしまう原因とシャッタースピードの関係を解説してみました。

まとめ】
・ストロボをマニュアルで撮影する場合はストロボ同調速度より遅いシャッタースピードにする。(シャッタースピードを速くすると一部が黒くなったり暗くなったりしてしまう)


・ストロボ同調速度は機種によって違うので自分のカメラの数値を把握しておく。


・フォーカルプレーンシャッターの仕組により、後幕で光が遮られるために起こる。


・ハイスピードシンクロ機能付のストロボで回避することも可能



ではまた。